腋窩多汗症

腋窩多汗症について

脇の下に異常なほど汗をかいてしまう症状がある場合、腋窩多汗症と診断されます。多汗症は、汗腺が多く集まった場所に症状が現れやすく、代表的な場所が脇の下です。他にも手のひらや足の裏、額などに症状が出るケースがあります。
脇の下は汗腺が密集している場所であり、緊張やストレスなどの精神的刺激、気候や運動による刺激の両方で発汗が促されるため汗をかきやすい場所です。ただし多汗症の場合、暑くなくても、運動をしていなくても大量の汗をかきます。幼少時に発症することもあり、日本人の2~5%が多汗症であるとされています。発汗を促す交感神経が興奮しやすいと多汗症になりやすいと考えられていますが、はっきりとした原因はまだわかっていません。

脇の下の汗腺

エクリン腺とアポクリン腺という2種類の汗腺が脇の下にあります。多汗症にはエクリン腺がかかわっており、アポクリン腺の方はワキガ(腋臭症)とかかわりがあります。多汗症と腋臭症は全く違うものであり、治療法も異なります。ただし、多汗症に腋臭症が合併しているケースもあります。

腋窩多汗症の診療と治療

感染症や甲状腺機能亢進症といった内分泌疾患により汗が多く出ている続発性多汗症ではないことを確認します。続発性多汗症である場合には、原因となっている疾患の治療が必要になります。
特別な理由なく大量の汗が脇の下から出る原発性腋窩多汗症であることが確認でき、生活に支障を及ぼす症状でお悩みの方に当院ではボトックス注射によるボツリヌス療法をおすすめしています。
ボツリヌス療法は、ボツリヌス菌が作る天然のタンパク質をワキの下に注射する治療法です。汗を出す信号を阻止するため、過剰な発汗を抑えることができます。効果の程度や有効な期間には個人差がありますが、通常は注射後数日で効果が現れはじめ、約4~6カ月間効果が持続します。完治が期待できる治療法ではなく、必ず効果が切れますが、多汗の症状が再び起こるようになったら、再びボツリヌス療法を受けることができます。

保険適応について

特に理由なく大量の脇汗が出て、日常生活に支障を及ぼしていると判断され、原発性腋窩多汗症と診断された場合には、ボトックスによるボツリヌス療法が保険適用になります。一概には言えませんが、「暑くない・運動していないのに腕に流れるほど脇汗が出る」「服の両脇に大きく汗が染み出す」等の症状がある場合はお気軽に当院にご相談ください。この治療法は、十分な知識・経験のある医師によってのみ行うことが許可されております。当院の院長はその資格を有しております。